会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2023/09/14


 全都道府県で地域別最低賃金額が出そろい、すべての都道府県において39円から47円の引上げが行われることとなった。木戸部長は自社の新入社員の賃金が最低賃金を下回るのではないかと気になり、その確認方法を社労士に尋ねることにした。

 どの都道府県も今年度の最低賃金について39円以上の引上げとなりましたね。この引上げ額となると当社の新入社員が最低賃金を下回るおそれがあることから、確認しておきたいと思います。そのため、今日は、その確認方法を教えてください。

 わかりました。まず、最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金とされています。すべての手当を含めることはできず、実際に支払われる賃金から以下の1〜6の賃金を除外したものが、最低賃金の対象になります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当および家族手当

 6の通勤手当はなんとなくイメージがつきますが、精皆勤手当や家族手当も対象にならないのですね。

 そうですね。特に割増賃金の算定基礎には精皆勤手当を含めることになっているので、勘違いしないように注意が必要です。最低賃金の対象となる賃金の合計額を1ヶ月の平均所定労働時間で割り、最低賃金額と比較します。

 なるほど。この1ヶ月の平均所定労働時間とは、どのように計算するのですか?

 1ヶ月の平均所定労働時間は「1年間の所定労働時間÷12ヶ月」で計算します。例えば、1日8時間、年間の所定労働日数240日の場合、1ヶ月の平均所定労働時間は、「8時間×240日÷12ヶ月=160時間」となります。

 なるほど。パートタイマーの中に、基本給は時間給、役職手当(リーダー手当)は月給で支払っている人がいます。この場合、どのように計算するのでしょうか?

 役職手当を時間額に換算し、それと時間給である基本給を合計した金額と最低賃金額を比較します。例えば、基本給(時間給)980円、役職手当(月給)8,000円、1ヶ月平均所定労働時間が160時間の場合、以下のようになります。
 役職手当の時間換算額 8,000円÷160時間=50円
 合計の時間換算額   基本給980円+役職手当の時間換算額50円=1,030円
 この1,030円が最低賃金額を下回っていないかを確認します。

 わかりました。該当しそうな人は、一度計算してみます。ところで、当社の賃金計算期間は、16日から翌月の15日です。各都道府県で発効日が異なっていると思いますが、もし発効日が10月1日の場合、賃金計算期間の途中に発効日が来ることになります。この場合、来月(10月16日)から賃金を引き上げればよいのでしょうか?

 賃金算定期間の途中に発効日がある場合、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。そのため、発効日が10月1日の場合、少なくとも10月1日以降の労働に対する賃金について変更が必要です。

 となると、時間給で支払っているパートタイマーは10月分(9月16日〜10月15日分)は、前半と後半に分けて勤怠を集計して金額を算出することになるのですね。

 確かに、10月1日に発効される最低賃金を下回っている従業員はそのように計算することになるものの、手間の軽減やミスの防止を考えると、9月16日から金額を変更しておくことも考えられますね。

 その通りです。今回は大幅な引上げが予想されるため、確実に最低賃金を下回る人がいないかの確認をお願いします。確認の際、不明点がございましたら、ご連絡ください。

>>次回に続く



 今回は、地域別最低賃金についてとり上げましたが、特定の産業について設定されている最低賃金として「特定(産業別)最低賃金」があります。この「特定(産業別)最低賃金」は、関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定され、全国で227件の最低賃金が定められています(2022年3月31日時点現在)。
 一時的に「地域別最低賃金額」が「特定(産業別)最低賃金額」を上回る場合は、「地域別最低賃金額」が適用されるため、「特定(産業別)最低賃金」を適用している企業でも、今回の地域別最低賃金の引上げの際には確認が必要になります。

■参考リンク
厚生労働省「必ずチェック最低賃金!使用者も労働者も
厚生労働省「最低賃金の種類は?

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。


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